« CIRCUS MAXIMUS/The 1st Chapter | トップページ | CIRCUS MAXIMUS/Nine »

2012年5月26日 (土)

ATHEIST/Jupiter

昨年12月に没後10年を数えた、DEATHの故チャック・シュルディナーの

メモリアルコンサートが開催されるようですね。

゛DEATH TO ALL TOUR゛と銘打ってサンフランシスコやダラス等で

5回に渡って行われるようです。

DEATH TO ALL TOURへのリンク

注目は参加メンバーで、同郷のプログレッシブデスの始祖の一角を占める

あのATHEISTの名が!

さらに過去のDEATH参加メンバーとして

CYNICからショーン・レイナート、ポール・マスビダルの二人(共にHumanに参加)、

ジーン・ホグラン(Individual Thought patterns、Symbolicに参加)、

スティーブ・ディジョルジオ(Human、Individual Thought Patternsに参加)らの名も!

これは観たい!!

…さすがに無理か(^^;

なので、これを聴いてガマン(←最近コレばっかり)!

ATHEISTの奇跡の復活作「JUPITER」です。

Atheist_jupiter

DEATH、CYNICと並んで、フロリダプログレッシブデスの始祖といえる
ATHEISTの奇跡の復活作。
2010年末発表の、実に17年振りの4thアルバムです。

一言でプログレデスといっても音楽性は様々で、
この3バンドもそれぞれに異なっています。
ただ、中~後期DEATHと、1stのCYNICは、
音楽性に若干の共通点を見出だす事が出来ますが
(CYNICはDEATHにメンバーを派遣していたのも一因?)、
ATHEISTはかなり音楽性が異なっています。

Bのロジャー・パターソンのJAZZからの影響が色濃い、
リードベースともいうべき、極端に複雑で異様に音数の多い、
五指をフル活用したフィンガーピッキング・プレイを牽引力に、
ケリー・シーファーを中心としたツインGによる
奇異なハーモニーリフとリードプレイが載り、
Drスティーブ・フリンのテクニカルで変態的なリズムが暴れまくる、
前衛色の強いデスメタルに特徴がありました。

それでいて難解さはなく、むしろキャッチーともいえる、
いわば、制御の伴ったカオスが存在するという形容も可能な、
一見、矛盾した数々の魅力が同居、
光を放っていたのが印象的なバンドでした。
その音楽性が完成をみたのが、
91年発表の傑作「Unquestionable Presense」(2nd)です。

しかし、不運にも、バンドの要ともいえる
Bのロジャー・パターソンを、ツアー中にヴァンの事故で亡くし、
この作品では、彼がデモでプレイしたBを
CYNICのトニー・チョイが忠実に再現する形でレコーディング、
発表されています。

しかし、ロジャー喪失の失意から立ち直ることは困難、
スティーブ・フリンはバンドを離脱して大学に進学、
バンドは活動休止を決定。
しかし契約の関係上、もう一枚アルバムをリリースする
必要がある事を知らされ、
ケリーはたったの40日でアルバムの作曲・レコーディングの
全てをこなす事を余儀なくされたのです。

ケリーの呼び掛けに応じ、再びトニー・チョイがBで参加。
G2名とDrを新たに加入させ、制作を開始。
その出来の良さに、Gパートナーのランド・バーキーが再び参加。
結果、トリプルG体制で制作は進められました。

サンバやJAZZの要素も大幅に導入した、当時としては他に例をみない、
実験的なプログレッシブデスメタルとして結実した、
ATHEISTとしても異色な3rdを発表。

ATHEISTは眠りにつきました。

それから13年の時を経て、WACKEN OPEN AIRの主催者の
熱烈な要請にほだされ、
中心メンバーのケリー、スティーブに、トニーをBに再び加え、
サポートG2人を加えた形で復活
(ケリーは腕に障害が生じライブではVoに専念)、
WACKENのステージに姿を現しました。

伝説化していたバンドの降臨に6万人のオーディエンスは大興奮、
そのあまりのハイテンションなリアクションと、
数十人もの現役の出演バンド達からの熱いリスペクトに
心底、感動したケリーとスティーブはアルバム制作を決意、
今作の発表につながりました。

さて、その復活作である今作ですが、
彼らならではの魅力と、現代的な要素が理想的な形で結実、
2ndからの連続性も感じられる充実した内容に仕上がっており、
昔からのファンはもちろん、テクニカルなデスメタルを好む、
新規ファンをも獲得しうる可能性を内包しています。

レコーディングにはBのトニー・チョイは参加しておらず、
セカンドGとして近作に参加のクリス・ベイカーが兼任する形でプレイしており、
そのためか、ケリーのGとスティーブのDrが主導する音楽性、
すなわち、奇異なハーモニーリフ、メロディックなツインリードG、
スティーブのテクニカルで変態的なリズムワークが
全面的に押し出されたものになっています。

プログレッシブで複雑な曲構成ながらも、
各曲とも4~5分のコンパクトな尺で構成されており、
アルバムのランニングタイムが30分少々に
収められているのも好印象です(過去3作もそうでした)。
それでいて過去作以上に1曲中の緩急が凄まじく、
まるでジェットコースターに乗っているかのように、
次々と場面転換が図られ、めまぐるしく曲が展開していくのです。

ランニングタイムの短さに加え、
このようにあまりにも濃密な音楽なので、
あっという間にアルバム一枚を聴き終えてしまい、
その天晴れなまでの潔い爽快感からか、
即座にリピートを誘発させられます。

音楽性の完成をみた代表作の2ndとの比較においては、
ロジャー・パターソン(及び代役を果たしたトニー・チョイ)不在により
JAZZ的な要素は薄れており、
そこに違和感を覚える向きはあろうかと思われますが、
それを補うかのように、
中心人物2人のプレイに現代的な感性が大幅に導入されており、
それでいてATHEISTとしてのアイデンティティーは
いささかも失われていないという、
いわば゛ATHEIST2010Ver.゛ともいうべき音楽性を
提示してみせるという離れ業をやってのけてみせたのです。

再結成かくあるべし、と叫ばずにはおれません。

この現役感満載の音楽性なら、CRYPTOPSYやMESHUGGAR、
BETWEEN THE BURIED AND MEといった、
テクニカルかつプログレッシブな
現代のエクストリームメタルのファンにも十分にアピール可能だと思います。
昔の名前で出しました的な再結成作とは次元が全く違います。

現代においては、数多あるテクニカル、プログレッシブなエクストリームメタル。
その総ては、このATHEISTが源流であり、ルーツといっても過言ではありません。

テクニカルメタルファンを自認する方で、
ATHEISTが未体験の方は、この復活作を、
そして、2ndを筆頭とした過去3作を聴かれる事をお薦め致します。

オリジネイターの凄み、その豊かな音楽に、
そして過去作からは、20年前の作品とは思えない、
早すぎた登場に、衝撃を受ける事でしょう。

復活第2弾の登場が待たれます。
今作のメンバーでの作品が聴きたい一方、
この音にトニー・チョイによるBが加わった音も聴いてみたいものです。
いずれにせよ、せっかくこんなにも素晴らしい作品で復活したのです。
これ1作で終わるのは、あまりにも、もったいない!!

関連記事:
CYNIC/Focus
CYNIC/Traced In Air

|

« CIRCUS MAXIMUS/The 1st Chapter | トップページ | CIRCUS MAXIMUS/Nine »

「AGGRESSIVE 」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/2332/45421654

この記事へのトラックバック一覧です: ATHEIST/Jupiter:

« CIRCUS MAXIMUS/The 1st Chapter | トップページ | CIRCUS MAXIMUS/Nine »