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2012年2月25日 (土)

LIGHT BRINGER/genesis

2011年の11月、ついにKINGレコードNuxusレーベルから

メジャーデビューしたLIGHT BRINGERが2012年1月にリリースした

3rdアルバム「genesis」です。

Lightbringer_genesis

B.のhibikiが、プログレハードを中心に据えた音楽に、
女性Vo.を載せた、親しみやすい音楽をやりたい、と考えて楽器店に出した
メンバー募集告知を、当時高校1年生だったVo.のFukiが見て連絡したところから
始まったバンドが母体となって始まったバンドで、
平均年齢20代前半の日本の若いバンド、LIGHT BRINGERの3rdフルアルバム。

現代アニメソング(70~80年代の水木一郎系アニメソングではなく)や
RPGの主題歌のような、超キャッチーかつちょっと凝った歌メロに、
DREAM THEATERの影響を感じさせるプログレメタル要素と、
SONTA ARCTICA等のメロディックスピードメタルをブレンド、
さらに90年代のWANDSやZARD等のB-ing等のJ-POPアレンジを
まぶしたような音楽が特徴で、
前作「Midnight Circus」でその魅力が高次元で開花、
注目度が急上昇、メジャーデビューと相成りました。

さて、その期待のメジャーデビューアルバムですが、
POP色の強い1stから順を追って聴いてきたファンには自然な成長が感じられる
であろうアルバムである一方、メタル色を押し出した2ndからファンになった、
私のようなファンには、第一印象に若干の違和感を覚えるアルバム、
という印象です。

1stのもつPOP色を基盤に、その後の成長を反映させて研磨、
そこに2stのメタル色をスパイス的に付与した、
POP色の強い音楽性と感じました。

そこには彼らが目指す「親しみやすいメタル」「お茶の間にメタルを」という
コンセプトの広範な流布への戦略性が垣間見えます。
メジャーデビューもそのために選択した手段のひとつなのでしょう。

すなわち、メタルを聴かない、J-POPファン等の獲得を目指したアルバムで、
それらファンに親和性の高い、FukiのVo.主体のPOP色の強い
「歌モノ」楽曲を取り揃え、
さらに、ジャケ買いを誘発させるFukiのキュートなルックス「のみ」を載せた
アートワークを展開、さらにはメジャー人脈をフル活用した露出を獲得、
各種音楽誌へのインタビュー掲載、さらには新聞(全国紙)への露出、
FMレギュラー冠番組までも実現、
これら戦術が奏功し、オリコンデイリーチャートで16位、
週間チャートでも国内総合26位と大健闘することとなったのです。

個々の楽曲を見渡すと、先述の通り、Fukiの歌の魅力を
最大限リスナーに伝える事に主眼を置いた曲作りが展開されており、
FukiのVo.ワークも楽曲によって、様々な表現力を発揮、
時にパワフルに、時に萌え声ラブリーに、カラフルに楽曲を彩っています。

先行シングルとなった#3noahは心地よい疾走感、
勇壮さを感じさせつつもツカミの強いキャッチーなメロディ、
テクニカルなプレイ、といった彼らの持てる魅力を凝縮した、
メジャーデビューの挨拶代わりとしては最適な楽曲で、
手応えを感じさせてくれます。

切ないメロディが冴え渡る、#6カルンシュタインの系譜、
アニソン系メロディが炸裂するキャッチーなアップテンポTune、#7Just  Kidding !
男女ツインボーカル風Tuneで、男性パート、女性パートを一人二役で
歌い分ける「一人宝塚状態」が楽しい、#8光の王女
(もしかしたら脱退したkazuとのデュエットを想定していた?)や、
前作から顕著になった、Fukiの黒猫(=陰陽座のVo.)化!?が炸裂し、
ドスの利いた中低域Vo.が迫力の#4merrymaker #9Respoir、
初の本格バラード#10風 等々、FukiのVo.の魅力にフォーカスした楽曲が満載。

かといって、楽器隊は完全にバックバンド化してしまうようなことはなく、
イントロに続いてアルバムの幕開けを告げるオープニングTuneにもかかわらず
イキナリの変拍子で展開、それでいてしっかりキャッチーな#2ark、
切ないバラードと思いきや、ドヘヴィかつプログレなアレンジが秀逸な#5Babel、
そして各楽曲の随所に、あり得ないテクニカルなパートが盛り込まれており、
さすがは一筋縄ではいかない存在感を発揮しています。

とはいえ、前作までよりもより「歌」に重きを置いたアレンジになっている印象で、
全曲5分以内に抑えられた楽曲の尺からも、「歌モノ」志向が感じられます。

ただ、1曲目~10曲目まで、バラエティに富んではいるものの、
歌モノ系の曲で全て占められている構成から、
初めて聴いたときはモヤモヤした気分がふつふつと沸いてきました。
"Upstream Children""Hearn's Heaven""Dream!""Diamond"といった曲で、
私を魅了した、希望溢れるメロディと疾走感に包まれた曲が、今回は、ない…。
ラストの11曲目のタイトルは"love you"。ハートマークまでついているよ。
これは多分、彼らの影響源のひとつ、陰陽座の各アルバムのラスト曲のような
お祭り系POP-Tuneだろうな…疾走系の曲は、今回は、なし、か…モヤモヤ。

と思いきや。

爆走爽快メロディTune キター!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そう、そうなんです!私が彼らに心酔する、最大の魅力はこの、清々しく、
リスナーに希望と元気を与えてくれるメロディと、この疾走感、
Fukiのどこまでも伸びていくハイトーン、
メンバー全員のテクニックが高次元で炸裂し、
曲をさらなる高みへ運んでくれるアレンジメント、これらが詰まった、
こういう曲なんです!!!
ハートマークまでつけて、完全に油断させられました。
こういう曲を最後の最後に持ってくるとは・・・ヤラレました。

「ホントはこういう曲が聴きたかったんでしょ?うふふ」

などと焦らしに焦らされて、もう我慢出来ないところまで引っ張って、
限界に達したところでブチかます。なんてドSなバンドなんでしょう。
この1曲でさっきまでのモヤモヤ感は完全に帳消しにされました。

"love you"か…彼らは自分たちのことを呼ぶとき、バンド名を省略して
「らぶりー」と称する事が多いので、
「Love」という言葉には思い入れがあるのかな…
「You」はファンの事なのかな…
震災直後、自分たちの在りように苦悩していた彼らからのメッセージ、
「Dream!」「We Are All In This Together」に通じる想いも感じるな…
などと色々思いを馳せてしまいました。うん、この曲最高!!!

ちょっと気懸りな点が三つあります。

一つ目は、"noah"で入ってきたであろう、J-POPファンの
非メタル層がこの曲をどう感じるか、です。
そういや昔、X-JAPANも好きだったな…という人なら大丈夫だと思いますが、
この爆走メタルTuneに引く人もいるのではないか…という点です。
私からすると、こういう曲があともう2曲くらいは欲しいところですが、
「親しみやすいメタル」「お茶の間にメタルを」という野望を抱く彼らのこと、
だからこそ、こういうリスクもはらんだ曲は1曲に絞り、
しかも一番最後に配置したのかな、
新規ファン(主に非メタル)と、私のようなメタル層との
バランスを上手くとったのかな、などと読んでみたり。

でも、これは希望的観測ですが、
多分、"noah"で入り、ここまで聴き進めた人なら、この曲にも魅了され、
しかも、こういう曲ももっと聴きたい、と思うのではないかな?
ですので、今回のアルバムが1stを下敷きに発展させたPOPアルバムだと思うので、
次作では2ndを下敷きにPOPテイストもふりかけたアルバムを作ることで、
こういうニーズに応えて欲しいですね。

そして気懸りな点の二つ目です。それはFukiへのシフトが過剰な点です。
ジャケ写しかり、「歌モノ」なアルバム構成しかり、です。

先にも述べた、J-POPファンの獲得への野心を
具現化するための戦略であろう事は理解出来ますが、
楽器陣がややもすると「バックバンド」的に扱われているように感じます。

これは「扱い」であって実際のプレイは全くバックバンド的ではありません。
肝心の音楽ではもちろん随所でこれでもかと弾き倒していますが、
良くも悪くも「大人」な役割に徹しているようにも感じます。
前作まではあった、7分台の長尺で、好きなこと全部詰め込みました、的な
若さが先走った曲が今回はないのも「大人」な印象を強めています。

Fukiが魅力的なシンガーであることに異論はありませんが、
でも彼女の魅力が「さらに」活きるのは、
「バンド」LIGHT BRINGERの一員として、であって、
ソロシンガーとしてではない、と感じています。

アルバム構成についてもそうです。
前作「Midnight Circus」にもあった「歌モノ」Tune
"今にも落ちてきそうな空の下で""奇跡"は非常に優れた魅力的な曲でしたが、
それも"Resitance""Midnight Circus""Dream!"Hearn's Heaven"といった
メタルTuneの「幹」があってこそのもので、
「歌モノ」は私にとっては幹ではなく「枝」なのです。
それが今回、「枝」を中心に据えてFuki押しをしている。
これでは本当の意味での彼女の魅力が100%発揮されない、と感じています。

三つ目はKazuが不在の、今後の楽曲制作について、です。
"Upstram Children""Dream!""noah""Hearn's Heaven""
"今にも落ちてきそうな空の下で""奇跡"といった、私が思うところの
シングルカットポテンシャルのあるメロディセンスが秀逸な楽曲は
いずれも彼のペンによるもの、もしくは彼とHibikiとの共作によるものです。
脱退直後のアナウンスでは、今後も楽曲提供は行っていく、と告げられていますが、
果たして本当なのか?という心配があります。

今回の脱退の件はメジャーデビュー直前で、恐らくデビューシングルを含め、
既に相当数のマテリアルが揃っていてのタイミングであったため、
「今後も楽曲提供」というアナウンスを行ったのではないか、と想像してます。

決してhibikiやmaoの作る曲がイマイチ、という事を言っているのではありません。
"Resitance""babel"等々、魅力的な曲を多数創り出していますからね。
魅力的なライターは2人より3人いたほうが作品の幅が広がる、と思うのです。
杞憂に終わればいいのですが…。

以上、ダラダラと無駄に長い駄文を連ねてきましたが、
それもこれも、彼らの高いポテンシャルに対する期待が大きいからこそ。

「一般のロックファンとメタルファンの間に壁があるとしたら、
                       自分達がその壁を壊せる存在になりたい」

とはFukiの弁。私としても是非、そうあって欲しいですし、
彼らならそれがきっと出来ると思います。
今回のアルバムはそのための、はじめの一歩。
シーンの活性化は若いバンドの存在と、それをフォローする若いファンの存在が
両輪で回ってこそだと思います。
彼らならきっと、若い新規ファンを開拓できると思います。
こんなにも若いバンドがメジャーデビューアルバムでここまでのクォリティの
アルバムを創り出したこと自体が驚愕に値します。
これからもさらなる高みを目指し、素晴らしい音楽を届けて欲しいです。
彼らのこれからが、とても、とても、楽しみです!!!

関連記事:
LIGHT BRINGER/Midnight Circus

最近気になるバンド1

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