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2011年12月30日 (金)

LAST AUTUMN'S DREAM/Nine Lives

もはやHR/HMファンにとって、時候の挨拶代わりとなった感のある、

Last Autumn's Dreamの新作リリースが今年もやって来ました。

早いもので9作目でかつ9年連続のリリースです。

Last Autumn's Dream/Nine Livesです。

Lastautumnsdream_ninelives

前作「Yes」の記事でも書きましたが、私にとっての
彼らの魅力は以下の通りです。

1)ミカエルが創り出す、北欧の冷涼な空気を感じる哀愁Tune
2)ミカエルが創り出す、ベルベットのようなあたたかみを感じる癒しTune
3)アンディの紡ぐ歌心あふれる煽情Gソロワーク
4)ジェイミー作のライトでPOPな爽やかTune

とりわけ1)と2)の落差が生み出す、
晩秋~初冬、それもクリスマスの時期に感じられる、
肌を刺す寒さとは対照的な、
切なくもあたたかい、ほのかな幸せ感のような感覚。
季節と音と体感がシンクロする、
Last Autumn's Dreamというバンド名に相応しい、
その音楽に魅了されてきました。

そしてそれを増幅する、3)アンディのGワーク。
楽曲の持ち味を的確に理解し、ミカエルと双璧をなす、
ハミングするような、叫ぶような、むせび泣くような、
多様な表情で語りかけてくる、Gによる歌唱でもって
さらなる高みへと曲を導いていきます。

そしてそれにアクセントをつけるのが、4)ジェイミーによるライトな楽曲。
…というのが「Dreamcatcher」までの、
私にとってのLast Autumn's Dreamの魅力であり、番号がその優先順位でした。

しかし、B.のマルセル・ヤコブのまさかの没後にリリースされ、
マルセルへの追悼の意も込められた「A Touch Of Heaven」以降、
マルセルとTALISMANでもリズムパートナーであった
ジェイミーの豊かな才能が作品に色濃く作品に投影されることとなり、
前作「Yes」ではジェイミーがプロデュースも担当、
しかもこれまで大半の曲作りを担ってきたミカエル作の曲が激減、
変わってジェイミー作の曲が多くを占めるに至ったのです。

しかも、そのジェイミー作の曲がこれまでのライト路線には留まらない
幅の広さを提示、とりわけ"Another Night""To Be With You"では
切なくもあたたかい、まるでミカエル作の曲のような魅力を振りまき、
"Still Standin' Where Ya Left Me"ではブルージーさと泣きにあふれた
メロディとドラマティシズムを発揮、
私の中でのジェイミーのプライオリティは一気に急上昇しました。

そんな個人的な流れの中で今年もリリースされた彼らの最新作「Nine Lives」。
期待に応える素晴らしい歌唱とプレイ、メロディが満載の
充実した内容のアルバムに仕上がっています。

前作に引き続き、プロデュースをジェイミーが担当、
ジェイミー作の曲も12曲中5曲と、依然高いウェイトを占めています。
一方、前作では3曲と一気にウェイトが減じられたミカエル作の曲も5曲へ。
残り2曲のうち1曲はなんとB.ナリーポールソン作、1曲はANGELのカバー。

さてその音楽的な方向性ですが、
「A Touch Of Heaven」のPOPS路線と、
「Yes」のドリーミングな癒しのフィーリングを
ブレンドしたような作風と感じました。

「A Touch~」以降の音楽性はPOPS寄りになって
Hard​ Rockのフィーリングが薄れてきていましたが、
今回はさらにその傾向が顕著になっています。

これは、以前インタビューで
「LADはCHEAP TRICKタイプのパワーPOPバンド」
と語っていた、今作のプロデューサーでもある
ジェイミーのマインドが投影された結果と思われます。

そしてその意向に沿うように、ミカエル作の曲も
POPフィーリングあふれるタイプの曲が取り揃えられてきました。

ジェイミー作の曲を見渡すと、POPフィーリング全開の
オープニングTune、"In A Perfect World"
ちょっぴり切なくもリラックスムードが漂う #3"In This Another Heartache"
弾むようなリズムと超POPかつ甘いメロディが楽しい #6"All I Can Think Of"
TALISMANの盟友だったジェフ・スコット・ソートの存在感が過多(^^; な
驚きのデュエットTune #8"The Last To Know"
そして「Yes」のムードを最も色濃く継承している、
ドリーミングで癒しにあふれた、切ないメロディが印象的な
#10 "We Never Said Goodbye"とバラエティに富みつつも、
徹底的にPOPな曲が取り揃えられています。

彼の曲のユニークな点は、まるでクリスマスソングのように
楽しくてちょっぴり切ないムードを湛えたものが多い、と感じられるところです。
決してクリスマスソングではないのに、です。
その楽しい雰囲気作りに一役買っているのが、"The Bogerettes"こと、
JosefinとMatildaの、ジェイミーのお嬢さん姉妹(と思われます)による、
ハンドクラップ。ジェイミー作の3曲とミカエル作の1曲の計4曲に登場し、
お父さん達を盛り上げます(^^

一方のミカエルは前作では3曲だけの提供に抑えていたものの、
今回は5曲を提供、ジェイミーに負けじと、こちらもPOPな曲を取り揃えてきました。
POPながらもジェイミーとは異なり、サラリと哀愁のフィーリングを封入、
アップテンポな躍動を感じるアルバムタイトルTune #2"Nine Lives"
ジェイミー作の曲かと見紛う、POPで心がウキウキしてしまう、
まさにタイトルのイメージそのままの #4"Merry-Go-Round"
Keyによる8分刻みがオシャレでちょっとブリティッシュなムードも感じられる
#7"Megalomania"、ミカエルが曲提供をしているスウェーデンの女性シンガー
ジェニー・レデンクヴィストとのROCKフィーリングあふれるガッツィーな
デュエット #9"Angel Eyes" ミカエル得意の癒しのムードと切ないメロディに
包まれた「お休みなさい」Tune #12"Don't Let Love Fade Away"と
さすがのメロディ職人ともいうべき、充実の曲を取り揃えてきました。

そしてアンディです。まったくブレることのない、曲の魅力を正しく理解した、
絶妙のソロワークで曲を高みへと導きます。
特に今回初登場のナリー・ポールソン作の、疾走感溢れる、希望に満ちた
爽快感満載の名曲 #5"Golden Cage"での煌くようなソロは思わず
ガッツポーズの素晴らしい出来。さすがです。ため息が出ます。
(リフがTNTの"Intuition"に酷似しているのはまぁ、ご愛嬌)
#10 "We Never Said Goodbye"のきちんと作曲されたものと感じる
極めてメロディックなソロも印象的です。
そしてなんといっても彼のソロはミカエルが紡ぐ哀愁Tuneとの相性が抜群で、
#12 "Don't Let Love Fade Away"でのコンパクトながらも絶妙なトーンで
切なく奏でられる音の連なりには、とにかくしみじみさせられます。

今回で9年連続リリースの9作目なのですが、よくぞ今回もこれだけの充実した
作品を出してくれたと感心することしきり、です。

先にも述べたとおり、私のなかでのプライオリティNo.1は
ミカエルによる、北欧の冷涼な空気を運んでくる哀愁Tuneです。
古くはデビュー作の"Again And Again""Going Home"や
3作目の"Love To Go""Winter In Paradise"といった曲がそうです。
しかし、ジェイミー主導のPOP化の進行で、
こういった曲が「A Touch Of Heaven」収録の"Renegade""Jenny's Eyes"を
最期に、姿を消してしまったのは正直、残念です。

ただ不思議と、今回は前作ほど、この「冷涼哀愁Tune」の消滅を
残念に感じませんでした。
恐らく、先に述べた通り、前作におけるジェイミーの充実振りから、
ジェイミーのPOPセンスに対する、私の中のプライオリティが上昇、
私の中のLAD観がジェイミー寄りに若干修正された事が
原因ではないかと思っています。
これまでの私と同様、ミカエルの哀愁Tuneへの傾倒が強い方とは、
この点で賛否が分かれるところではないかと思います。
(もとろんミカエルの冷涼哀愁Tuneが恋しいのは私も同じですが)

とはいえ。ここで今回も、お説教タイムです(^^;

肝心のジェイミー作曲の曲に、早くも息切れ感が出て来ているのが
気になります。過去に作曲した曲に酷似したコード進行や、フレーズが
若干ですがところどころ顔を出してしまっています。

特に顕著なのが個人的なお気に入りTuneでもある 
#10 "We Never Said Goodbye"です。
ヴァースメロディが前作の名曲"Another Night"のヴァースメロディに、
コーラスパートのコード進行が
同じく前作の名曲"Still Standin' Where Ya Let Me"の
コーラスパートに少々似ており、言葉は悪いですが「焼き直し感」が
感じられます。これを「ジェイミー印」と評する事も出来るかもしれませんが、
私のモノサシでは、ポジティヴに受け止める範疇を超えているレベルと感じます。

その点、ミカエルの曲はそういう点があからさまには感じず、
「ミカエル印」とポジティヴに受け止めることが出来ます。
これは個々人の尺度の違いがあると思うので
一概には言えないかもしれませんが、私的には、
コンポーザーとしてのミカエルに、一日の長があると感じます。

息切れの原因は明らかです。前作レビューや全作レビューでも指摘したとおり、
1年に1枚リリース、という十字架を背負ってしまったことにあると思います。
繰り返しになりますが、そろそろ腰をすえてじっくりと制作してもらい、
傑作を生み出して欲しいと思います。

とはいえ次回はついに10周年=10作目にあたります。
ここまできたら、10年連続記録を達成してもらいたくもあります(^^
ですので、来年10作目を出したら、一旦小休止してもらい、
これまでのペースを修正、数年後に充実の復活作をリリース、
というシナリオをお願いしたいです。

10周年記念来日公演→LIVEアルバムリリース→活動小休止
というのもいいですね。呼び屋さん、どうでしょう?

・・・とクドクドと文句も言いましたが、彼らへの愛情・期待が
大きいからこそのもの、なので勘弁してください。
彼らには手堅いアルバムを量産するのではなく、
野心にあふれた傑作を再び生み出して欲しいのです。
彼らならきっとそれが出来るはずなのです。

さぁ!10周年のあとはお休みだ!休むんだ!(^^;

関連記事:
LAST AUTUMN'S DREAM
Yes/LAST AUTUMN'S DREAM
Saturn Strikes/LAST AUTUMN'S DREAM
Winter In Paradise/LAST AUTUMN'S DREAM

The 1/MIKAEL ERLANDSSON

 
LAST AUTUMN'S DREAM 来日公演!!!
<続>LAST AUTUMN'S DREAM 来日公演!!!
祝!LAST AUTUMN'S DREAM 来日公演!!!(↑記事遅過ぎ)

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