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2010年12月30日 (木)

YES/LAST AUTUMN'S DREAM

すっかりこの季節の風物詩となった感のある、LAST AUTUMN'S DREAMの

新譜が今年もリリースとなりました。

今日はこの新譜のレヴューなどをしたいと思います。

…拙Blogのレヴューはほぼ2年振りなので、以前以上にとりとめのない内容に

終始しそうですが…coldsweats01

Lastautumnsdream_yes_3

スェーデンが誇る哀愁美メロライター・シンガーで、特に95年発表1stソロの素晴らしさで
メロディアスハードファンの心を虜にしたミカエル・アーランドソン、
90年代日本でHR以外の層にも広くアピールし、破格のセールスを記録した
ドイツの哀愁メロディアスハードロックバンドFAIR WARNINGのGの片翼、
アンディ・マレツェクを中心に結成されたLAST AUTUMN'S DREAMが
10年12月にリリースした8枚目のアルバムです。

彼らのアルバムはいずれもが高品質であり、従って私個人の評価軸は
優れたアルバムであるか否か、ではなく、
その作品は、私が考える彼らの魅力にどの程度合致しているか?
がポイントになります。

私が考える、彼らの魅力は下記です。

1)ミカエルが創り出す、北欧の冷涼な空気を感じる哀愁Tune
2)ミカエルが創り出す、ベルベットのようなあたたかみを感じる癒しTune
3)アンディの紡ぐ歌心あふれる煽情Gソロワーク

4)ジェイミー作のライトでPOPな爽やかTune

とりわけ1)と2)の落差が生み出す、切なくもあたたかい、
厳冬期に自宅に着いた途端に眼鏡が曇るような、ほのかな幸せ感が
格別で、極上のカタルシスが得られます。

そしてそのカタルシスをさらなる高みに連れて行ってくれるのが
アンディのGソロワークで、特に1)のタイプの曲との相性は抜群で、
その際たるものが1st収録の「Going Home」だと感じています。

そしてジェイミーには悪いのですが、これらを引き立てるのが
4)ジェイミー作の曲だと考えています。
ミカエルの曲を「影」とするなら、ジェイミーの曲は「明」の位置づけであり、
両者のバランスよい曲数構成比、アルバム内の配置で陰影とコントラストが
くっきりとし、立体的なアルバムを形成していたと感じています。

私にとってあくまでも主役はミカエルの曲とVo.、アンディのGなのです。
(普通は主役は「明」で、逆なのですが)

前置きが長くなりました。では、本作です。

本作の最大のトピックは、これまで作品中2、3曲程度だったジェイミー作の曲の
収録曲数構成比がミカエル作の曲数を逆転した点だと思います。

これには不安を覚えました。
前述の通り、私にとってジェイミーは引き立て役、スパイス的な役割なのです。
また、前作のインタビュー時の発言「LADはCHEAP TRICKタイプのバンド」に、
外れてはいないが、ちょっと違う…と違和感を感じていたので尚更です。

さて、聴いてみた結論ですが…杞憂でした。
ジェイミーは今作で、従来の4)タイプの曲だけでなく、
2)タイプの曲を充実させてきたところに大きな特徴があると感じました。

とりわけ #3 Another Night の殺傷力は強力で、私は即死しました。
最高です。
このタイプの曲としては4th収録"Supersonic"以来の名曲の登場です。

この曲を聴くと、こんなイメージが沸いてきます。
残業に疲れ、真冬の深夜の雨の中、家路を急ぎ、帰宅。
ぐっすりと眠る子供達の寝顔を見た時の切なくもあたたかい幸せ感。
そして夜が明け、窓を開けると雨は雪へと変わり、一面銀世界、
大はしゃぎの子供達…というものです。…イメージというより妄想ですね(^^;

アカペラコーラスに導かれ登場する、ナリー・ポールソンの
ハイポジションを駆使したシンプルにして歌心あふれるベースフレーズ、
クリーントーンGのアルペジオのイントロだけで卒倒です。
そしてミカエルの切ない歌声、そしてやさしくあたたかいコーラス…
アンディのソロもハーモニーを駆使し、弾き過ぎず、盛り上げる…完璧です。

#6 To Be With You(Mr.BIGとは同名異曲)の切なくも高揚感あふれる
アップテンポでキャッチーな魅力も最高です。
エンディング直前のアンディのGソロも非常に印象的です。

そしてジェイミーは1)タイプの哀愁Tuneも繰り出してきました。
#9 Still Standin' Where Ya Left Me です。
ミカエルの曲のような冷涼な感触はないものの、このブルージーさと泣きにあふれた
メロディ、ドラマティシズムは堪らないものがあります。
そしてやはりアンディの魅力はこういう曲でこそ最大限に発揮されるのです。
ボリューム奏法を織り交ぜたブルーズフィーリングあるドラマティックなソロワークは
曲の中間部、エンディング部でその魅力を発揮しています。

これらの他にも切なくやさしく、どこか懐かしい曲が目白押しです。

ミカエルならではの哀愁POP Tuneも健在で、冒頭のピアノも印象的な
アップテンポTune #2 The Sound Of Heartbreak、
ELOを意識したという(3rdの"Echos From The Pastっぽくもあり)
#5 If I Could Change The World、エンディングにぴったりの癒しTune
#13 Alive で存在感をアピールしています。

これほどまでの楽曲の充実振りは久し振りだと思います。

ただし、諸手を挙げてこの作品を傑作!とまでは呼べない部分も感じています。
それは私にとって最大の魅力である前述の1)タイプの曲がほとんど無い点です。
2)タイプの曲は充実していますが、それだけでは駄目なのです。
1)タイプの曲との落差から得られるカタルシスこそが私にとっての
LAST AUTUMN'S DREAMの最大の魅力なのです。
そして、それがない。その点が不満です。

これはデビュー以来貫き通している1年に1枚のアルバムを
晩秋から初冬にかけてリリースするという十字架を背負ってしまった事に
原因があると思います。

どんなに才能あるライターであっても1年に1枚は短か過ぎです。
これを8年間も続けてくれば息が切れてきても当たり前です。
これが今作も含めた近作が今ひとつ煮えきれない最大の要因だと思います。

また、ジェイミーの曲も純然たる新作だけではなく、TALISMAN用のストックから
採用している曲が散見されるのも若干ですが、気になります。
少々意地悪な見方ですが、曲作りに倦怠感が感じられるミカエルを補足するべく、
急遽、ジェイミーの蔵出しの曲で間に合わせてアルバムの曲数を揃えたのでは、
という気もします。

そろそろ1年に1枚の看板は下ろし、楽曲の充実を図ってからアルバムを
リリースする体制への変換を図ってはどうでしょうか。
先述の通り、決して彼らのアルバムのクォリティは低くありません。
しかし彼らならではの魅力は高水準でキープしていて欲しいのです。

どうしてもレーベルが許してくれないのなら、
そろそろ来日してLIVEを行い、LIVEアルバムをリリースして、
オリジナルアルバムを1年お休みしてはどうでしょうか。
(単独来日は依然厳しいでしょうから他バンドとカップリングで)

彼らを愛するが故、後半は少々厳しい論調になりましたが、
今やメロディアスハードロックの安心・高品質ブランドとして
確立された彼らゆえ、3rd以来の傑作を期待しているのです。

きっと彼らならその期待に応えてくれるはず…!

 

関連記事:
Nine Lives/LAST AUTUMN'S DREAM
Saturn Strikes/LAST AUTUMN'S DREAM
Winter In Paradise/LAST AUTUMN'S DREAM

The 1/MIKAEL ERLANDSSON
 

LAST AUTUMN'S DREAM 来日公演!!!
<続>LAST AUTUMN'S DREAM 来日公演!!!
祝!LAST AUTUMN'S DREAM 来日公演!!!(↑記事遅過ぎ)

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コメント

レビュー拝読しました...いや、私も、哀愁爆弾 #3 Another Night には即死しましたですよ...ジェイミーさん、こういうの書けるんですね、もっと明るいのしかムリかと思ってた(ゴメンナサイ)


この曲を聴いてのKAKEHASHIさんのイメージの拡がり、
なるほど、という感じですね...。

LADの場合、ビジュアライズしやすい音ではあっても、人によってそれぞれ、さまざまな風景が拡がる、そんな懐の深さを感じます。わたしの場合、眼をつぶってこの曲を聴いていると、なんだか自分が胡蝶の夢をみて、この世にあるすべての苦しみや矛盾から解放され、ただあちこちをひらひらと無邪気に飛び廻っているような錯覚に陥りました...歌詞の内容とはぜんぜん違うんですけどねw  

こういう解釈、というか感じ方の自由さは、英語をただ“音”として聴ける日本人の特権なのかもしれないですね。

投稿: オヤジギャガー | 2010年12月30日 (木) 04時02分

わたしはけっこうごっちゃにしてるので、哀愁爆弾、と称しましたが、上の梯さんの定義に沿って言うと、癒し爆弾、とするべきかもしれませんですね...m(_ _)m

投稿: オヤジギャガー | 2010年12月30日 (木) 04時20分

オヤジギャガーさん、コメントありがとうございます!

私も全くもって同感です。
ジェイミー、こういうのも書けるんですね~。

彼らの音楽から拡がるイメージのキャパシティの
大きさ、懐の深さ、本当に同感です。
歌詞を全く読んでいないので違うかもしれませんが、
ジャケットのイラスト観はもしかすると
"Another Night"が発するイメージを体現している
のかもしれない…とオヤジギャガーさんの
コメントを読んでいて思いました。

言葉が邦楽のように直で頭に飛び込んでこない分、
洋楽のほうが「声」が楽器的な役割を帯びていると
私も思います。

それと、オヤジギャガーさんが危惧するPOP化、
特に"Surrender”のカバーに象徴される前作でのパワーPOPへの
接近についてですが、前作の場合、マルセルヤコブを失った
悲しみを吹き飛ばすために意図して明るい作風に
していたのではないか、と思います。

対して今作はドリーミングな癒しにあふれた作風となっています。
マルセルに捧げられたアルバムらしいので、
天国にいるマルセルはもちろん、残された自分達への
心の救いを表現した一面もあるのかも・・・
というのは考え過ぎかな?

「YES」当分私のヘビロテになりそうです!

投稿: KAKEHASHI | 2010年12月31日 (金) 00時44分

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