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2006年9月18日 (月)

Silence/A.C.T

Silence_1
スェーデンのメルヘンチック・プログレッシヴ・ハードロックバンド(?)の
’06年発売の最新作です。

彼らの音楽性を語る際、QUEEN的要素についての指摘がしばしば登場します。

この指摘は正しいと私は思うのですが、さらに突っ込んで言うと、
例えばロビー・バレンタインなどが“Bohemian Rhapsody”の
展開美、ドラマ性やクラシックテイストのデフォルメを特徴としているのに対し、
A.C.Tの場合、“Killer Queen”等の楽曲が持つ小粋なポピュラリティー
を基盤とし、そこにQUEENとは異なるプログレッシヴ・ロック的な展開を
大幅に導入し、さらにAOR的な洗練を加えた音楽、と私は解釈しています。

A.C.Tならではの特徴を存分にキープしつつも、
彼らの数ある魅力のうち、このポピュラリティーに積極的に
フォーカスした点が今作の最大の特徴といえると思います。

#1 Truth Is Pain、#3 This Wonderful World、#6 Into The Unknown、
#7 No Longer Touching Ground、#9 The Voice Within、
#10 Polish,Reduce And Enlarge
…といった楽曲はハードロックとかプログレの範疇では語れない、
より広範なポップスのフィールドで充分に鑑賞に堪えうるものだと思います。

では、A.C.Tはより安全な世界へと歩みを進めたのかというと、
そうではありません。野心的な試みはなおも続いています。

新たな試みとして特筆すべきは、そのサウンド面での実験性でしょう。
まず真っ先に耳を惹くのは、初めて導入した生ストリングス陣
から導き出される音の響きです。この要素がもたらすロマンティシズムは
このアルバムの楽曲に奥行きを与えることに成功しています。
またKeyの音作りにも、これまでの彼らの作品や、
他の多くのプログレメタルにはみられない、
ポップスフィールドやアンビエントミュージック的なアプローチが
見られるのも印象的です。
アレンジメントにこれまで以上のこだわりを見せたことが伺えます。

とりわけ、JAZZ的アプローチで織り成す楽曲構成、
アンビエントなKeyサウンド、空間を活かしたギタープレイが耳を惹く
#4 Out Of Ideas の仕上がりは素晴らしく、このアルバムの
ハイライトのひとつといえます。

一方で、前作までに見られた、DREAM THEATER等に代表される
プログレメタルに顕著な、ユニゾン、インタープレイが減り、
ギターサウンドはノーマルトーンや空間系エフェクトを用いたナチュラルな
ものが中心となり、メタル的なディストーションサウンド等の歪み系は控えめ
なのが特徴的です。

だからといって、彼らの楽曲にプログレメタル的な要素がなくなったのか、
というとそうではなく、#5 Hopeのリフワーク、KeyからGへ展開するソロ、
#8 Useless Argument のユニゾンリフワーク、スリリングなギターソロ、
アウトロのニール・パートを彷彿とさせるドラムパート、そして20分に及ぶ大曲、
“Consequences(The Long One)”等、随所に健在です。

QUEEN的なオペラティック要素も#2 Puppeteers、#11 Call In Dead
で健在で、特に後者のPOPで分厚いコーラスワークは楽しい気分に
させてくれます。

それにしても恐るべきはそのソングライティング能力の高さです。
捨て曲と呼べるものはボーナストラックも含め、一切ありません。

特に大曲“Consequences(The Long One)”のインントロ以降に
随所に登場するメインメロディ、“Joanna”の切迫したドラマ、
A Wound That Won't Heal~The Final Silenceのクライマックスをはじめ、
聴きどころが満載で、歌詞の哀しさと相俟って切ない気持ちにさせられる、
「Last Epic」とはまた趣を異にする叙事詩に仕上がっています。

前作から3年にわたる“Silence”が無駄ではなかった事がわかる、納得の一枚です。
関連記事:Last Epic/A.C.T

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「MELODIC ROCK」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
今回のA.C.T.のアルバム良いですよねぇ。私がA.C.T.をよく聴くようになったのは前作の『Last Epic』からですが、今回のアルバムはメロディがさらに耳に残るようになっていて、すごく好きです。

投稿: noblame | 2006年9月19日 (火) 21時34分

noblameさん、こんばんは。A.C.Tの最新作は素晴らしいですよね。前作も充分な手応えを感じましたが、今作の充実振りも目を見張るものがあったと思います。より幅広い層に聴いてもらいたいものです。noblameさんはどの曲が一番お好きですか?

投稿: KAKEHASHI | 2006年9月20日 (水) 00時54分

>どの曲が一番お好きですか?
穏やかな"No Longer Touching Ground"は大好きですね。他には、う~ん、まず、オープニングの"Truth is Pain"は曲の展開だけでなくメロディも良いですねぇ。続く"Puppeteers"もの小洒落た感じも好きです。"This Wonderful World"のコーラスも・・・何だか全部好きみたいです。(笑)ギターリフがゴリゴリしているメタル部分も盛り上がっちゃいます。

投稿: noblame | 2006年9月21日 (木) 12時02分

noblameさん、コメントありがとうございます。"No Longer Touching Ground"、私も大好きです。イントロからヴァースにかけてのムードは、個人的にはCARPENTERSにどこか通じる、懐かしさ、穏やかさを感じさせてくれて、とてもお気に入りです。サビメロのキャッチーさ、アナログテープをストップさせたかのようなエンディングも気が利いてます。"Puppeteers"も大好きです。この曲は従来のA.C.Tらしくていいですね。それにしても、ゲストヴォーカルのケニー・サーリンのハイトーン恐るべしです。Keyのジェリーの実兄だそうですが、私は完全に女性だと思ってました。恐らく前作のハイライトチューン"The Effect"ラストの女性ヴォーカル的なパートもこの人が唄っているものと思われます。"This Wonderful World"のコーラスも大好きです。重厚でありながら大仰でないサジ加減が気に入ってます。…私も全曲好きなんです(^^; これからの秋にもピッタリのムードのアルバムだと思います。

投稿: KAKEHASHI | 2006年9月22日 (金) 00時27分

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