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2006年4月15日 (土)

IN FLAMES 2 ~IN FLAMES型ヘヴィメタル~

IN FLAMESの久々の快作「Come Clarity」にハマっています。
でも、私は何故こんなに、この作品にハマっているのでしょうか…?

Whoracle 
whoracle/1997

前作「The Jester's Race」で北欧叙情デスメタルの完成形を提示した彼らが
次に提示したのは「IN FLAMES型ヘヴィメタル」の雛形でした。
ポイントは2つ。サウンドフォーマットの変質、メロディにおける大衆性の導入です。

前者について具体的に言うならば、
「ツインリードギター・インストゥルメンタルにディストーションヴォイスを被せた」
ヘヴィメタル/パワーメタルへの変質、ということになります。前作収録の
#6December Flower、#7Artifacts Of The Black Rain、#10Lord Hypnosis
におけるパワーメタルへの接近の発展形ともいうべきスタイルで、もはや「デスメタル」
と呼ぶのがはばかれる、独自のヘヴィメタルでした。その完成形がアルバム冒頭を
飾る屈指の名曲#1Jotunです。デス/スラッシュ由来のリフ(特にSLAYER由来の
禍々しいハーモニーリフ)を放棄した、ツインリードギター・インストゥルメンタルと言って
しまってもいいでしょう。この傾向はこの後の#2Food For The Gods、#3Gyroscope、
#5The Hive、#6Jester Script Transfiguredにも脈々と続き、この作品の大きな特徴
となっています。インスト#4Dialogue With The StarsもVoをカットした同系統の曲だと
いえます。

メロディにおける大衆性の導入についてですが、次の特徴があると思います。
 ①叙情性→哀愁への変化(=メランコリシティの減退)
 ②北欧民謡/フォーク→ポピュラーミュージック的明朗さへの変化
つまり、より多くのリスナーを獲得しうる、明快さが付与されたということです。
先述の#1におけるメロディは多くのリスナーの心を鷲掴みにする魅力に溢れています。
インスト#4のメインメロディ、#5のソロパート、#9Episode666の全編に流れるメロディック
なコード進行、ボーナス扱いが勿体無い名曲#12Goliaths Disarm Their Davids
も十分な魅力が満載されています。#5のソロパートが思い切り、DEEP PURPLE
の“Burn”のKeyソロパートなのはご愛嬌(笑)。

これらの特徴を持つ音楽性は当時、実は他の誰もやっていないタイプの
新しいヘヴィメタルでした。すなわち「IN FLAMES型ヘヴィメタル」の登場です。
非常に画期的であり、後に数々のフォロワーを生み出していく事になります。

これまでの3作品同様、次の作品につながる新たな萌芽が見て取れます。
DEPSCHE MODEのカヴァーである#9Everything Countsにおける、
ディストーションヴォイスによるメロディ歌唱表現、#8Worlds Within The Margin
における、ギター以外の楽器=Keyリフ の登場です。
これらもその後の作品につながる、見逃せないポイントだと思います。

Colony_2
colony/1999

前作で提示された、大衆性溢れた哀愁のメロディを奏でるツインリードギター・インスト
にディストーションヴォイスを被せた「IN FLAMES型ヘヴィメタル」に、同じく前作で
新たな萌芽として現出していたアンダース・フリーデンによるメロディ歌唱、
ギター以外の楽器によるリフワーク、メロディのアウトプットという要素が本格的に開花、
IN FLAMESが新たな次元へ到達したことを実感できる、名盤です。

#1Embody The Invisibleのオープニングで秒殺されること必至のメロディを筆頭に、
#3Scorn、#5Zombie Inc、#8Resinにおいて歌いまくりのGメロディが続々と登場。
過去最高のキャッチーさを惜しげもなく楽曲に注入しています。

前作のDEPSCHE MODEカヴァーより現出した、アンダースの「歌唱」が本格的に
結実されたのが#7Coerced Coexistenceで、その後、顕著になる「歌モノ」路線への
布石となる重要な位置づけの曲だと思います。他にも#4Colony、#10Insipid2000でも
ディストーションヴォイスによる歌メロ、#2Ordinary Storyにおけるクリーンヴォイス
歌唱(&つぶやき)と、意欲的に「歌う事」へのチャレンジを見せています。

新たなメロディの担い手としてアンダースの歌唱が加わったのと同時に、見逃せない
のがKeyによるメロディ、リフの現出です。#2、#4のオルガン系メロディ&リフ、
#5のサウンドエフェクト&シンセによる隠し味など、この後の作品で積極的に導入
される、幅広いアレンジメント能力の片鱗が見え始めています。

また、Stand Ablaze以降、各アルバムで提示されていたパワーメタル系Tuneも
これまで同様収録されていますが、そのサウンドアピアランスは「メロスピ」とその後
称される事になる、SONATA ARCTICAやDRAGONFORCEなどに顕著な、
スピードTuneになっているのが印象的です。#3、#7、#11がそれで、#3はいわゆる
ツーバスドコドコ系です。#11はRAGEに通じる疾走感溢れる魅力が満載の
メロディックTune。

LUNAR STRAIN~THE JESTERS RACEの頃のメランコリシティーとは若干趣を異に
するものの、叙情性溢れるトラッド/フォーク#6Pallar Anders Visaの演歌的ともいえる
アコギインストもアルバムの流れに起伏を与えています。

1stから作を追う毎に繰り出されてきた様々な要素をほとんど全て提示してみせて
バランスよく配置し、なおもこの後の作品への新たな布石もみせてしまうという、
実に素晴らしいアルバムです。ギターだけでなく、VoやKeyも煽情力の高いメロディを
終始奏で、なおもアグレッションを失わない、「IN FLAMES型ヘヴィメタル」は
ここに完成を見たと、私は考えています。

IN FLAMESの歴史の始まりを告げたアルバムであるLUNAR STRAINの
オープニングBehind Space、エンディングClad In Shadowsの2曲のリメイクを収録、
「北欧メロディックデスメタルバンドIN FLAMES」として一区切り付けた彼らの視線は、
既に次なる次元へと向かっていたのです。

関連記事:IN FLAMES 1 ~北欧叙情デスメタル~
       IN FLAMES 3 ~飛翔する「メタル」~

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コメント

お久しぶりです。お元気なのでしょうか・気になりましたのでちょっと覗いてみました。

投稿: バツイチ女のひとり言 | 2006年4月17日 (月) 18時23分

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