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2006年3月 4日 (土)

Focus/CYNIC

Cynic_1
卓越した技術、知性、豊富なセッションワークにより、多くのバンドに渇望された、
歴戦のテクニカル・ミュージシャン達によって結成された、アメリカはマイアミの
プログレッシヴ・デス・メタルバンドが93年に遺した、唯一のアルバムです。

現GORDIAN KNOTのB.:Shawn Maloan
DEATH「Human」参加のVo/.G./Synth G.:Paul Mashviol
同じくDEATTH参加のDr/Synth Dr/Key:Sean Reinert
MONSTROSITY参加のG./Synth G.、Jason Gobel
の4人によって構築されるその音楽性は、Vo.のスタイルこそデス・ヴォイス
ですが、「デスメタル・アルバムなのか?」という問いには即答しかねる、
カテゴライズ困難なアヴァンギャルドな世界。

かといって、意味不明な不協和音を連ねる変態的音楽性ではなく、
基本的なサウンド・フォーマットは、「Individual Thought Patterns」以降に顕著な、
後期DEATHのもつテクニカル・デスメタルに近いものであり、そのうえで、
RUSH~DREAM THEATER的なクリーントーンGサウンドを主軸においたメロディが
ジャズ・フュージョンベースのインストのなかで浮遊し、ヴォコーダーエフェクトヴォイス
によって哲学的、宗教的なアジテーションが展開されるというものです。

ヒンドゥー教における幻影とその現象を象徴する女神“Maya”を主題とした、
ヴォコーダーによるアジテーション、呪術的語り、Synth Dr、Synth Gによって
幕を開ける#1 Veil Of Mayaは、デスメタルフォーマットのディストーションVo&G
ダブルベースDr、その背後を蠢くフレットレスBによる疾走→プログレメタル的「タメ」
→フリージャズ・フュージョン→女声呪術歌唱→デスメタルという複雑な構成を、
しかし5分程度の尺のなかで凝縮してみせた、CYNICというバンドの魅力を
最大限に発揮した名曲です。この1曲でCYNICが描く音宇宙・幻惑的世界に
惹き込まれること必至です。

全ての楽曲が5分以内とは信じ難い、複雑にして濃密なドラマ性に彩られた楽曲が
息をもつかせぬテンションで次々繰り出され、さらには、近未来SF的なヴィジュアル
を伴って聴き手に迫ってきます。特に#5 I'm But A Wave To… が誘う、
Synth&クリーンGによる不穏な空気と空間の広がり、フレットレスベースが醸し出す
酩酊感覚、#4 Sentimentのフュージョン的なサウンドと不穏な闇は、深夜の飲酒に
絶妙のマッチングを見せつけます。
また、彼らのミュージシャンシップのなんたるかを最大限に発揮した、
Instrumental Tune、#7 Textureも美麗なまでの世界を展開しており、
一聴たりとも逃せません。

一言では語り尽くせない音楽性、多様性を持つデスメタルという意味では、
OPETHにも通じる世界があると思います。ただし、音楽のもつベクトルが
OPETHがオーガニックな70'sプログレに向かっているのに対し、
このCYNICは近未来SF的な世界に向かっているので、強くお勧めは出来ませんが、
音楽の持つ無限の可能性に果敢に挑むその精神性には大いに共通するものが
あると確信しています。是非一度、試してみてはいかがでしょうか…?

おしまい。

関連記事:
CYNIC/Traced In Air

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ことのはの、かけはし

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コメント

表現がお上手ですね~。僕は自分のブログでCynicの音楽性を文章で表現しようと試みたものの、上手く行かず中途半端な文章に悔やんでいたところです。

単純にプログレとデスの組み合わせと書いてしまうとOpethとCynicは同じであるかのようになってしまいますけど、まさにKAKEHASHIさんが書かれているようにベクトルは全然違う方向で、音楽性がだいぶ離れているのは興味深いですね。

でも、共通する「音楽の持つ無限の可能性に果敢に挑む」というのは、まさにプログレッシブという言葉そのもので、両者ともプログレッシブ・ロックの好例みたいな感じでしょうかね。

なので、僕の場合、いいなぁと思えるまでにずいぶん時間がかかりましたよ~。あきらめなくてよかった(笑)。

乱文失礼しました~。

投稿: ヘビーメタル・プログ | 2006年12月26日 (火) 00時35分

コメントありがとうございます!CYNICについて語れる方はあまり多くないので、共感いただけてうれしいです。音楽表現のほとんどはやり尽くされてしまった、なんて言葉をしばしば目にしますが、CYNICにしてもOPETHにしても、音楽の可能性はまだまだ広がっていることを実感させてくれる稀有なバンドだと、彼らの曲を聴くにつけ、思い知らされます。あきらめずに聴いていただけて、よかったです(^^ 再結成ツアーで、誰かのサポートでいいから来日して欲しいです…願わくば、OPETHのサポートで。

投稿: KAKEHASHI | 2006年12月29日 (金) 22時24分

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