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2006年2月11日 (土)

Winter In Paradise/LAST AUTMN'S DREAM

Lastautmnswinter

スウェーデンの哀愁ヴォーカリスト/コンポーザーであるミカエル・アーランドソンと、
90年代に、ここ日本で当時としてはビッグ・セールスを連発したドイツの
哀愁メロディック・ハードロックバンドFAIR WARNINGの
ツインリードギターの片翼、アンディ・マレツェクが組んで結成されたプロジェクトの、
05年発表の3rdアルバムです。

メロディックロックファンなら誰もが認める実力を持つ存在でありながら
、もうひとつ上の弾けた存在感を今一歩、発揮出来ていなかっ
た二人が合体(させられた!?)。
「哀愁」をキーワードにした最強プロジェクトの出現に、誰もが大きな期待をもって、
そのアルバムの登場を心待ちにしていました。しかし、そのあまりにもプロジェクト然
としたスタジオワークの弊害からか、アウトプットが噛み合っていない部分もあり、
期待通りの仕上がりの哀愁Tuneが散見されながらも、トータルでは今ひとつ、
突き抜けていない印象のアルバムを2枚発表。悪くないんだけど、彼らならば、
きっともっと素晴らしいものが作れるはず…そんな歯痒さを感じていました。

さて、1st以降、1年おきにプロジェクト名の如く、晩秋~初冬の時期にアルバム発売
してきた彼ら。年末の12月に最新作として届けられたのが、その名もズバリ、
「Winter In Paradise」。通して聴いた印象は、前2作で感じられた歯痒さがかなり
解消された、満足の一枚でした。

二人の持つ哀愁のメロディセンスが理想的な形で結実した、名曲の数々。
特に#1“Love To Go”、#7“Winter In Paradise”、#10“If You're The One”は
冬の寒空にぴったりの、感傷的な気分に浸れる、充実の仕上がりです。
ミカエルのこれでもかと言わんばかりに押し寄せてくる哀愁メロディに、追い討ちを
かけるアンディのむせび泣くリードギター。FAIR WARNINGの時もそうでしたが、
彼は曲の中間部のソロパートはもちろん、エンディング直前のソロパートがまた、
いいんです。クライマックスに向かう曲のドラマ性を大きく増幅させてくれる、
実にいい仕事振りを発揮してくれるのです。今回もこの3曲での、ミカエルのバックで
泣き叫ぶGワークが特に素晴らしい!大満足です。

ミカエルの持つ、POPな味わいが魅力的なミディアムTune、
#3“The Way You Smile”、#8“I Don't Want To Hurt You”が醸し出す、
冬の寒空で白い息を吐きながら家路を急ぎ、
家のドアを開けた時に感じる幸福感、凍えた身体を温めてくれる
クリームシチューのようなハートウォームな味わい、
とでも形容しましょうか、その独特の質感がまた、心地いいのです。
いいコンンポーザーですね。

この他にも、前作から加入のTALISMANのDr、ジェイミー・ボーガーのペンによる
POPでライトな#2“Don't Let Our Love Go Down”、ミカエルのソロ1作目に収録
された人気Tuneのリメイク#4“It's Alright”、
ブライアン・メイぽいオーバーダブ・ギターと分厚いコーラスが特徴の
QUEENタイプの楽曲#5“Echoes From The Past”
(日本のBEAGLE HATなるバンドのカバー)、LiveにピッタリなRock Tune、
#9“All I Want Is Rock”など、バラエティ豊かな曲が絶妙な配置で並び、
アルバムトータルとしての完成度を高める役割を効果的に果たしています。

また、前作で感じた、このプロジェクトの方向性を理解していないと思われる
サウンドプロダクションが見事に解消、TALISMAN組のB.マルセル・ヤコブ、
Dr.ジェイミーのグルーブ感あるボトムがストレートに腰に響いてきて、
実に気持ち良い気分にさせてくれます。

これだけ良いアルバムを作ってくれた彼らですが、懸念材料もあります。
メンバーのうちアンディだけがドイツ在住であり、かつかなりのシャイな性格ゆえか、
ほとんど顔をあわせた事がなく、ほとんどEメールでのファイルのやりとりに終始して
いるそうです。いかにもスタジオプロジェクト、という微妙な空気が気になります。
前作で見られた、見当違いなサウンドプロダクション、練り込みの甘い楽曲。
スタジオプロジェクトの弊害とも言うべき、不明瞭なイニシアティヴの所在、
リーダーシップの欠如がその原因だと思います。カバーが多いのもそんな印象を
強めている一因でしょう。

また、リズム・ギターの大半をアンディではなく、マルセルが手掛けているというのも
気掛かりです。アンディのクレジットがどの曲にもないのもひっかかります。
アンディが手掛けている別プロジェクトとの両立の困難さが原因とインタビューで
明らかになりましたが、アンディのこのプロジェクトへの距離感が心配です。
腕の故障とヘルゲ・エンゲルケのエゴとの衝突を契機としたFAIR WARNING脱退が
頭をよぎります。

こんなにも素晴らしいアルバムを作ってくれた彼らには、“バンド”としての息の長い
活動を望みたいです。すなわちスタジオ・プロジェクトからの脱却です。
その為には、まずはそろそろ、過去の遺産に頼るような、いかにもレコード会社に
やらされました的な、カバー攻勢をやめにしましょう。
そして、ライブをやってもらいたいです。
ヨーロッパや日本にはこういう音楽への需要は根強くあります。
“バンド”としての存在感を発揮し、そしてバンド内においても絆、結束の強化と
ケミストリーの発見に努めてもらいたいです。

彼らには期待するところが大きく、後半は少々辛口になりましたが、
是非とも今後も息の長い、充実した活動を続けてもらいたいです。
来年の晩秋~初冬、彼らは私達にどんな夢、楽園を見せてくれるのでしょうか?
その飛躍に期待したいです。

関連記事:

Nine Lives/LAST AUTUMN'S DREAM
Yes/LAST AUTUMN'S DREAM
Saturn Strikes/LAST AUTUMN'S DREAM
Winter In Paradise/LAST AUTUMN'S DREAM

The 1/MIKAEL ERLANDSSON

LAST AUTUMN'S DREAM 来日公演!!!
<続>LAST AUTUMN'S DREAM 来日公演!!!
祝!LAST AUTUMN'S DREAM 来日公演!!!(↑記事遅過ぎ)

おしまい。

↓私のHP

ことのはの、かけはし

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コメント

“冬の寒空で白い息を吐きながら家路を急ぎ、家のドアを開けた時に感じる幸福感、凍えた身体を温めてくれるクリームシチュー”

....そうですそうです、もう最高です!(涙

投稿: オヤジギャガー | 2007年2月 4日 (日) 15時12分

こちらも共感いただけたみたいで、うれしいです。オヤジギャガーさんは、LAST AUTUMN'S DREAMではどのアルバムが一番お好きですか?私は最新作とこの「Winter~」のどちらかなのですが、なかなか甲乙つけがたい印象です。

投稿: KAEKHASHI | 2007年2月 4日 (日) 15時49分

長々とコメント書いていたんですが、たった今、誤消去してしまいました...立ち直れないので、そのうちに。要旨は、2ndも1stも、曲は悪くないので大好き!要は全部好き!というアホみたいな主張ですwwww

投稿: オヤジギャガー | 2007年2月 5日 (月) 00時34分

オヤジギャガーさん、コメント誤消去されてしまいましたか…心中お察しします。しかも長文だとなるとそのショックは計り知れないです。そう、2ndも1stも普通のメロハーとしては非常によいアルバムだと思うんです。ただ、期待が大きすぎるので、少々辛口な評価になってしまいます。1stはかなり好きですが、アルバムトータルで見ると、彼らなら、もっと良く出来るはず!と思ってしまうんです。いや、捨て曲はないと思うんですが、いくつかの曲で、もっと凄い曲に仕上げられると感じられる曲があります。2ndはその期待感を持って臨んだので、今ひとつ、という感じがしました。もちろん、好きな曲はいくつかあります。でも、もっと出来るはず…と余計に感じました。それだけに、3rdが出たときは嬉しかったです。待ってました!という感じでした。結果を出してくれたから、今となっては、2ndの曲も冷静に聴けます。2ndだったら“So Much Love In The World”“Up In Paradise”とかLive聴いてみたいです。

投稿: KAKEHASH | 2007年2月 5日 (月) 22時51分

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