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2006年2月 4日 (土)

Ghost Reveries/OPETH

Opethgohst_2   

スウェーデンのプログレッシヴ・サイケデリック・ゴシック・デスメタルバンドが05年に
発表した、目下の最新作。かねて気になっていたOPETH、初体験です。

プログレッシヴ・ロックとヘヴィメタルの融合を高次元で昇華させたバンドの筆頭格
といえば、DREAM THATERであることに異論のある人は
ほとんどいないと思います。
彼らの音楽の根底にあるのは、RUSHが体現していた、テクニカルパートが醸し出す
エキサイトメントと、計算された楽曲構成でもって演出されるドラマ性が特徴の、
いわば「“80年代的プログレシヴ・ロック”とヘヴィメタルの融合」にフュージョン的な
味わいを付与したものだと私は思っています。

一方、このOPETHの場合は、フォーク・ミュージック、ジャズ、クラシックなどと
ロックの融合を試みていた「“70年代的プログレ”とヘヴィメタルの融合」にあると
感じています。特にフォーク・ミュージックの持つ叙情性の導入の手腕が見事で、
そこにゴシックロック的な耽美性、デスメタルの獰猛性、
そしてヴィンテージ・キーボードが醸し出すサイケデリック・カオティックな
味わいが付与された印象です。

10分を超える長尺4曲、5分以上が3曲、5分以下はラスト1曲のみという壮絶な
までの大作志向ですが、冗長な印象は一切なく、息をもつかせぬ展開で、
多様な音楽性が渦を巻いて聴き手に迫ってくる印象です。
この「渦を巻いて」というのがポイントです。

デスメタルが基盤のバンドが多様性を求める場合、曲のアクセント的に
メロディをGパートやVoパートにて「挿入」してきているか、伝統的ヘヴィメタルの
バッキングにデスメタルVoを「被せた」ものが大半を占めているのに対し、
OPETHの場合、完全に多様な音楽性、要素がミクチュアされて、しかもある種の
浮遊感を伴って、ひとつの混合物として、あたかも渦を巻くように迫ってくるのです。

この浮遊感を演出するのに大きな役割を果たしているのが、新加入した
SPIRITUAL BAGGARS、元DEATH ORGANペル・ヴィヴァリによるメロトロン、
ハモンドなどのヴィンテージキーボードのサイケな味わい、
そして鬼才ミカエル・オーカーフェルトが紡ぎだす、暗黒リフワーク。
冗長さの一歩手前で偏執狂的にリフレインされるトリップ感を誘発するリフワークが
描く絵画的なイメージは、梅図かずおのホラー世界を見ているかのような、
渦を巻く暗黒世界と、ドラッグ的なトリップワールドの深い漆黒の穴に堕ちて行く
かのような感覚です。

しかしその浮遊感を打ち破るのが、デスメタル・ヴォーカルの持つ獰猛性。
ミカエルの超絶ディープグロウルの見事さよ。その吼えまくるヴォイスは
元MORBID ANGELのデヴィッド・ビンセントの領域に達していると言い切って
しまいましょう。あからさまではない、しかしテクニカルなインストゥルメンタル陣の
スリリングなプレイと相俟って、破壊衝動と高揚感を与えることに成功しています。

そして、フォークミュージックを主軸とした、寂寥感を伴う美。漆黒の闇に見えた、
一筋の光のような、美。あれほどのグロウルヴォイスを見せ付けた人物と同一とは
にわかには信じ難い、グレッグ・レイクを彷彿とさせる繊細な叙情的ヴォーカルと
アコースティックギターの静かな調べ。この叙情ヴォーカルはメタリックバッキング
にも載せて提示されるのですが、見事なまでの調和を実現しています。
そしてここ一番で登場する扇情的リードギターの調べ。
特に11分に及ぶ大作#5Reverie/Harlequin Forestの静寂パートあけの
ツインリードはまさしく、美の骨頂です。

ロックが内包する美、醜、激、静、混沌、鬱が渦を巻いて聴き手を虜にする、
寸分の隙もない、現代エクストリーム・ミュージックの最高峰に位置する、
「歴史的傑作」です。是非多くの方に聴いていただきたいと思います。
ヘヴィメタルが好きな方なら、きっと何かを感じていただけるものと確信しています。

おしまい。

↓私のHP

ことのはの、かけはし

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コメント

こんばんは、弊BLOGへのTBありがとうございます。KAKEHASIさんのレビュー、いちいち頷いたりなるほど~と感心しながら読ませていただきました。いろんな音楽の要素があって、仰る通りメタラーには何かしら訴える部分が必ずあるであろう1枚ですね。滅茶苦茶気に入った!と言うほどではないにしろ、これを聴いて何も感じないメタラーには私はなりたくないなあ・・・ こちらに比べ恥ずかしいものではありますが私もTBさせていただきました。今後ともよろしく・・・

投稿: stromblad | 2006年2月12日 (日) 23時14分

strombladさん、TB&コメント、ありがとうございます。メタルミュージックでもとりわけ、デス、ブラック、ゴシックは、好き嫌い分かれるジャンルだと思いますし、70年代プログレはさらに聴き手に壁を作る音楽なので、これらが血肉になっているOPETHも万人受けする音楽ではないと思います。でも、この知性を感じさせる、しかし「激」たっぷりな音世界は、きっとメタル好きなら何かを感じるものかと思います。押し付けがましくて、スミマセン。ちょっと、熱くなってまして、この作品のおかげで…。また、是非いらしてくださいね!

投稿: KAKEHASHI | 2006年2月13日 (月) 00時10分

訪問ありがとうございました。
私よりもはるかに的確にレビューされていますね。彼らは70年代のプログレなんですよね。そこがDTとは違いますよね。それと浮遊感、高揚感、漆黒の闇とまさにポイントを付いたご指摘だと思います。バックカタログも是非レビューを拝見したいです。

投稿: ファラン | 2006年2月13日 (月) 09時17分

ファランさん、TB&コメント、ありがとうございます。そんな、とんでもありません、恐れ多いです。レヴューって、本当に難しいです。変にカテゴライズするのは本意ではないのですが、一口にプログレッシヴ・ロックといっても、70年代の「プログレ」と、RUSHタイプの「プログレッシヴ・ロック」は、ちょっとニュアンスが違うと、個人的に感じてます。OPETHはおっしゃる通り、70年代プログレですよね。バックカタログ、是非聴いてレヴューしたいです。アートなアルバムとの出逢いが嬉しくてたまりません…!また、是非いらしてくださいね!

投稿: KAKEHASHI | 2006年2月14日 (火) 00時02分

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受信: 2006年2月12日 (日) 23時07分

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